こっちを向いてよ、ダーリン!

「――ちょっと、先生ってば何するんですか!」


何を思ったのか、先生が私の携帯の近くで突然大きな声を張り上げる。
慌てて携帯を遠ざけた。


『……健二?』


圭くんが小さく呟く。


「あ、ううん、違うの、」


違ってなんかいないのに。
別に否定する必要だってないのに。


「これからどこ行こうか。沙羅ちゃんの行きたいところなら、どこでも連れてってやるよ」


支離滅裂なことを言い出す先生。

ジェスチャーで『あっちへ行ってください』と懸命に伝えてみたけれど、面白がってるのか、先生はニヤリと笑うばかり。

< 180 / 276 >

この作品をシェア

pagetop