こっちを向いてよ、ダーリン!

「返してくださいよ!」


奪い返そうと先生の腕に掴みかかったけれど、ジャンプしても届かない高さまで持ち上げられてしまった。


「もう、終わったことなんだろう?」


……終わったことって、圭くんと私のこと?

それに異論はないけれど、だからといって、携帯を取り上げる必要はない。

先生は、携帯を無理矢理切って、自分のポケットへしまった。


何? 何? 何なの!?
もう訳が分からない。


「ほら、授業に遅れるぞ」


『行け』とばかりに、右手でシッシと私を追い払う。

ついさっきまでデートに誘っていたはずが、今度は授業に行けって?

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