こっちを向いてよ、ダーリン!

どこまで自分勝手なのか。


「携帯返してください」


先生とデートなんてするより、授業に行くに決まっているけれど、携帯を奪われたままにしておくつもりはない。
右手を強気に突き出した。


「陽だまりでね」

「はぁ?」

「今夜、陽だまりにおいで。そこで返すよ」

「な、何なんですか? 今すぐここで返してください! 今日はアルバイト休みなんですから!」

「休みなら、コーヒーでも飲みに来たらいい」


呑気に言い放つ。


「それじゃ、またあとでね、沙羅ちゃん」


何をトチ狂ったのか、先生は投げキッスなんてものを私によこして、さっさと歩き出してしまった。

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