こっちを向いてよ、ダーリン!
◇◇◇
遅い。
自分から来いと言っておいて、一体どれだけ待たせるつもりなのか。
閉店時間の迫った陽だまりのカウンター席で、時計と睨めっこするのにも飽きてきた。
「はい、沙羅ちゃん、どうぞ」
何杯目のコーヒーかさえ覚えていない。
亜紀さんに淹れてもらったおかわりに、砂糖をたっぷり入れてスプーンでグルグルと掻き混ぜる。
「健二くん、遅いわねぇ」
亜紀さんまで、私に付き合って時計を何度も見てくれていた。
圭くんのそばで、ほぼ徹夜の私。
カフェインをいくら摂取したって、生理現象に敵うわけがない。