こっちを向いてよ、ダーリン!
◇◇◇
どこか遠くで私を呼ぶ声。
夢の中なのか現実なのか、それさえ定かじゃないまま、深い霞の中で立っていた。
誰も見えない。
存在も感じられない。
そんな中、どんどん近く大きくなっていくその声は、まるでワープするように私を人工的な明るさの下へと連れ出した。
「――先生!?」
開いた瞼のすぐそばあったのは、先生の顔のドアップだった。
「――痛っ!」
ビックリして仰け反ったせいで、ソファの角に頭をぶつけた。