こっちを向いてよ、ダーリン!
気付かなかった想い
茜の部屋に帰ったときには、既に午前0時を回っていた。
たいてい11時には寝てしまう茜なのに、私の帰りを待っていてくれたらしい。
眠い目をこすりながら、テレビを見ていた。
「おかえり。随分遅かったね。先生と楽しくやってたの?」
冗談めかして笑った茜は、私の顔を見るなり「どうしたの!?」と立ち上がった。
泣くつもりなんて、これっぽっちもないのに。
涙に逃げる女はイヤだと思っていたのに。
混乱が招いた涙は、茜も驚くほどに私の顔を濡らしていた。
「先生と何かあったの?」
「圭くんが……」
「……もしかして、陽だまりに来たとか?」
涙を拭いてコクンと頷く。