こっちを向いてよ、ダーリン！

最初は驚いて目を丸くした茜だけれど、すぐに腕を組み替えて「やっぱりね」と唸った。


「……何がやっぱりなの？」

「沙羅は圭くんのことで手一杯で全然気づいてなかったみたいだけど、先生が沙羅のことを好きだってことは一目瞭然だったからね」

「まさか」


いつも意地悪なことばかり言って、私が困った顔すると笑って喜んでるのに。
それに、先生が年下の私を相手にするわけがない。


「ったく、沙羅は……。付き合った男の数ばかり多くて、なーんにも身になってないんだから」

「……何よそれ」


一気に涙が引いた。


「男の心が全然分かってないって言ってるの」


それじゃ、茜は分かってるの？　とは言えなかった。
半分以上は当たっていたから。