こっちを向いてよ、ダーリン!
圭くんから、恋人でも何でもない女と同居してることを聞いて、偵察もしくは釘を刺しにでも来たに違いない。
女同士ならば、同じ男性を好きなことくらい、少しの時間を要せば感づくもの。
私の顔を見て、きっとすぐに気づいたに違いない。
ということは……この人は圭くんの……。
「どういうことか分かる?」
「何がですか?」
わざと素知らぬ振りをしてみせる。
そんなこと、認めたくない。
圭くんに恋人ができたことなんて、認められない。
しばらく無言のまま睨み合う。
「……まぁいいわ。それじゃ、そういうことだから、よろしくね、沙羅さん」