こっちを向いてよ、ダーリン!
その糸の中に、真奈美さんが1本含まれていたら、話は別だと思う私は、ひねくれているんだろうか。
「とにかく、早く戻って来てくれることを願ってるわ」
アリサさんは、ふふふと微笑んだ。
アリサさんがいる手前、大がかりな荷物の運び出しは出来なくて、結局はカバンひとつだけになってしまった。
本当なら、自分の部屋の整理もしたかったし、共用スペースに置き去りになっている私物も片付けてしまいたかったけれど。
「手伝おうか?」なんてニッコリと言われてしまえば、手短に済ませるしかなかった。
「本当に、早く帰って来てね?」
アリサさんはそう言って、最後まで念を押した。