こっちを向いてよ、ダーリン!
ところどころに浮かぶ雲が、通常よりも低さを感じて、自分の置かれた高さを思い知る。
空がさっきよりも近い。
「起きたのか」
「ここ、どこですか?」
眠っているうちに自然と傾斜した身体を起こす。
「さあ?」
「さあって……」
さっきから先生の発言は、要領を得ないことばっかりだ。
「あてもなく走ったら、いつの間にか山を登ってて、で、ここへ着いた」
「……なんですかそれ」
「まぁ、いいじゃないか。いい天気だし、たまには山もいいもんだ」