こっちを向いてよ、ダーリン!
痛いくらい伝わってるんだ。
先生の想いは。
でも、だからといって、それを認めるのは、未だ心を独占している圭くんの存在が邪魔をする。
早く解放されたいのに。
身動きが取れないまま。
離れれば、あの家を出れば、想いは薄れると思っていたのは誤算だったのかもしれない。
真奈美さんという恋人の登場すら、私の心には何一つ変化は訪れなかった。
「先生、さっきから携帯が鳴ってません?」
メロディこそ鳴らないけれど、着信を告げて震えている微かな振動音が何度となく聞こえていた。
「出なくていいんですか?」
随分しつこく鳴ってる。