こっちを向いてよ、ダーリン!
◇◇◇
ホテルの部屋に戻って二人きりになると、今夜は先生と過ごすんだということを改めて思い知って、緊張が身体を包み込む。
すっかり暗くなった窓の外は、さっきレストランで見たよりも街の明かりが鮮明だった。
「沙羅ちゃん」
窓にへばりつく私のすぐ後ろに、先生が立った。
ガラスに映り込む顔が穏やかに微笑んでいて、それがかえって私を緊張させる。
肩の上に手を置かれて、身体がビクンと震えてしまった。
「そんなに堅くならなくていいから。別に、取って食おうと思ってるわけじゃない」
ゆっくりと身体を反転させて、先生へと向き直させられた。