こっちを向いてよ、ダーリン!
「俺の出番は、それからということだ」
先生は私の頭をひと撫でして笑った。
「今夜は別の部屋を取るから、沙羅ちゃんはここで休むといい」
「えっ、でも……」
同じ部屋に戸惑っていたくせに、いざ一人で寝ろと言われると不安になる。
昼間の強気な姿勢を貫くことができなくなってしまっていた。
「一緒の部屋で何もせずに過ごすのは、俺には酷だからな」
当然ともいえる先生の言い分に、何も言えない。
荷物をまとめた先生は、振り返りもせずに部屋を出て行った。
一人になった部屋で、緊張から解き放たれて、大きく息を吐く。
そのままベッドにダイブすると、パリッとした寝具の感触が心地良かった。