こっちを向いてよ、ダーリン!
本当のキス


着いた駅は、時間のせいなのかひと気もまばらで、寒々しい雰囲気だった。


上りの電車は何時だろう。
時刻表と睨めっこすること数分。

ほんの10分前に出てしまったことが分かって、ガッカリしてしまった。
次は1時間半も後だというのだから、更に落ち込んだ。


仕方なしに、ホームのベンチに腰をかける。

少し前に出た上り電車にほとんどの人が乗り込んでしまったのか、同じホームには私以外の姿が見えなかった。

自販機で買ったホットコーヒーをカイロ代わりに手を温める。
それでも、時々吹き付ける風が身体を冷やしていった。


圭くんに何て伝えるか。
考えることは、それしかなかった。

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