こっちを向いてよ、ダーリン!
初めて会ったときから、ずっと好きだった。
そんなことを言ったら驚くかもしれない。
でも、これだけは確実だった。
私の告白は、圭くんを戸惑わせる。
きっと、返答にすら困るに違いない。
でも、きちんと「NO」だと言ってもらわなければ。
その言葉が、今の私には必要なのだから。
上り電車の出発まで、あと5分というところだった。
少し早めにホームに入ってきた電車が、プシューと音を立てて、目の前に停車した。
乗り込もうと立ち上がった瞬間、自分の名前が呼ばれたような気がした。
でも、辺りを見渡しても、それらしき人はいない。
そもそも、こんなところで私の名前を呼ぶ人がいるはずもないのだから。
空耳だったのだ。
思い直して、電車に乗り込んだ。