こっちを向いてよ、ダーリン!

「沙羅!」


私の耳は、よほどおかしいらしい。
もう一度聞こえた声が、圭くんのものに聞こえた。


会いたいばかりに幻聴まで。
圭くんに囚われすぎた故だ。


気を確かに持とうと、目を閉じて頭を振る。

圭くんがいるはずがない。
言い聞かせて、目を開けたときだった。


目線の先に、2つの足。

ゆっくりと顔を上げると――……


「――どうして!?」


今度は幻覚?
目をこすって、もう一度確かめる。

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