こっちを向いてよ、ダーリン!
「ちょ、ちょっと待って。だって、真奈美さんは?」
どうして、いてもたってもいられなくなるの?
圭くんにとって、私はそういう存在ではないはずでしょう?
「話さなきゃならないことがある」
私を引き離すと、圭くんは真面目な顔で私を見つめた。
どんなことを言われるのか、小さな恐怖につい怯える。
圭くんの口が次に開くまで、止まってしまったんじゃないかと錯覚するほど、長い時間が流れたように感じた。
「真奈美さん、退院したんだ」
「……そう。よかったね」
これで、圭くんは病院に付きっきりじゃなくなるんだ。
身体を壊す心配もない。
それは何より嬉しかった。