こっちを向いてよ、ダーリン!

「彼女とは別れた」

「え!?」


思いもしない言葉に唖然としてしまう。


「いや、別れたというのは正確じゃない。もともと本当に付き合っていたわけではないんだ」

「……何を言ってるの?」


だって、はっきりと私に言ったはず。
真奈美さんが恋人だと。


「怪我をしたときに、出来ることがあれば何でもすると言ったら、彼女にしてくれと言われたんだ。それは出来ないと断ったら、怪我が治るまででいいからって」


……何よ、それ。


「それなら、どうしてそう言ってくれなかったの?」

「真奈美さんに口止めをされたんだ。そのことは誰にも言わないように。特に沙羅には絶対に。怪我をさせてしまった手前、俺はそれに従うしかなかったんだ」


そんな……。

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