こっちを向いてよ、ダーリン!

圭くんが責任を感じるのも分かるけど、そんな無茶なお願いを受けるなんて。

でも、真奈美さんが恋人じゃないっていうのなら……。


「腕時計は? 真奈美さんの部屋に忘れたってことは、」

「あれは、彼女が酔い潰れて仕方なしに送って行った時に置き忘れただけだ」


送って行っただけで、腕時計を外す?


「手を洗わせてもらったんだよ。妙な勘繰りはよせ」


私の考えてることが読めたのか、圭くんは先回りして説明をした。


「……でもやっぱり分からないよ。どうして、圭くんがここにいるの? 真奈美さんのことは抜きにしても、私のこと――」

「ばか、気付け」


強く引き寄せられ、もう一度抱き締められた。

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