こっちを向いてよ、ダーリン!
「やっと通じたと思ったら、“沙羅ちゃんはもう俺のものだ。振られる覚悟があるのなら来い”とね。まぁ、健二も、本当に俺が来るとは思ってもいなかっただろうけど」
「……圭くんは先生に何て言ったの?」
「沙羅は渡さないってね」
トクンと鼓動が乱れた。
そんなことを言ってもらえる日がくるなんて、思いもしなかった。
絶対にないと思っていた未来。
それが、今ここに。
「健二は、薄々気づいていたのかもしれない。俺と真奈美さんのことは」
「……そう、なの?」
だから、こんな強行手段に?
「車を飛ばして来たのはいいけど、今度は沙羅が消えてて焦ったよ」