こっちを向いてよ、ダーリン!

「圭くん……」


これ以上ない言葉だった。

圭くんがママを想うほどに私を想ってくれることは、一生ないかもしれない。
でも、圭くんを想う、この気持ちだけは、ママにだって負けない。

それだけは自信があった。


「健二の出現が誤算だったよ。もたもたしてたら沙羅を奪われるって、正直焦った」


圭くんは、少し照れ臭そうに鼻の頭をこすった。

本当にそうだっただろうか。
例え、圭くんにはっきり振られていたとしても、やっぱり私の心は圭くんに囚われ続けていたような気がする。

誰と付き合っても、結局は圭くん以上に好きにはなれなかったから。


「沙羅、本当に悪かった」

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