こっちを向いてよ、ダーリン!
マスターの言葉に、圭くんは「ありがとうございます」ともう一度頭を下げた。
でも、何もしてないというのは、亜紀さんの思い違いだ。
二人がこの場を提供してくれなかったら、私はフラフラしたままだったに違いない。
「あの……できればアルバイトは続けたいんですけど……ダメですか?」
「俺からもお願いします」
二人揃って頭を下げる。
「こっちは願ってもないことよ。ねぇ、マスター?」
「もちろんだ。大事な看板娘だからね」
大袈裟なマスターの言葉には笑ってしまったけれど、快く受け入れてもらえていることが、すごく嬉しかった。