こっちを向いてよ、ダーリン!

「ダメだ」


傘を畳んで、私の手を引く。
私を隣に立たせると、抱えていたガーベラを供えるよう言った。

言われるまま、そのまま屈み込み、手を合わせる。


……ママ、ごめんね。
初めて白状するけれど、圭くんのことが好きなの。

圭くんは今でもママのことが大好きだから、多分、ママには一生適わないんだと思う。

でも、ママの次でもいい。
圭くんのそばにいられるなら、それでいいの。

だから、許してね。


目を開けて隣を見ると、圭くんはまだ瞼を閉じて手を合わせていた。


ママと何を話してるんだろう。
久しぶりの逢瀬だから、ママが離してくれないのかもしれない。


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