こっちを向いてよ、ダーリン!

本当によかった。
一番気がかりだったのは、ママのことだから。

この世にいないからこそ大きな存在は、今でも圭くんの心の全てを独占していそうで、私に入り込む隙を与えてくれないんじゃないかと思わせる。

2番目の地位でさえ、許してもらえないんじゃないかと。

圭くんの言葉で、やっと心から喜べる気がした。


「沙羅、」


見上げた圭くんの優しい眼差しに、吸い込まれてしまいそうになる。
雨に濡れた前髪が、やけに色気を感じさせた。


「結婚しよう」

「……え?」

「沙羅の卒業を待って、結婚しよう」


これは夢? 現実?

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