こっちを向いてよ、ダーリン!
そこから1ミリも動けなくさせる、圭くんの瞳に囚われた。
注がれる熱い視線に、身も心も焦がされてしまいそうになる。
「墓地でプロポーズってのもどうかとは思ったんだけどな」
照れ臭そうに笑う圭くん。
でも、ママを前にしてなんて、私にとっては最高の場所だ。
「で、返事は?」
「……はい」
「それは、YES?」
いつの間にか上がった雨。
雲間から差し込む光が、私たちの周りでキラキラと雨粒を反射させた。
圭くんのその唇がほしいから。
私を包み込むこの腕がほしいから。
圭くんの全部を手にしたいから。
ありったけの気持ちを込めて小さく頷くと、必要ないはずの傘を広げた圭くんは、ママの墓石へそれを向ける。
「さすがに見せられないからな」
軽いウインクをひとつ投げ、甘いキスの雨を降らせた。
-fin-
あとがきの後におまけがあります。