こっちを向いてよ、ダーリン!
ということは、この茜には通用しない。
慰めてくれることを期待した私がバカだった。
「それじゃ、出る前に試しなさい」
本当に懲りない人だ。
黙ってつまみに手をつける私に、「冗談よ」と優しく言った。
「でも、それでいいの?」
「いいも悪いも、私が一緒に住んでたら都合悪いでしょ」
「それは圭くんの都合でしょ? 沙羅の方よ。圭くんと離れて、本当にそれでいいの?」
「え……?」
それは予想外の茜の質問だった。
そう言えば、さっきからやけに茜との会話がしっくりと成り立っている。
今頃気づくなんて、私も相当反応が鈍い。