こっちを向いてよ、ダーリン!
「……1回だけ、した」
俯き加減に答えた。
どういうわけか、茜には嘘をつけない。
……ある一つを除いては。
「ほんっと、懲りないね、沙羅は……。
ちゃんと好きでもないのに、どうしていつも簡単にしちゃうの? 呆れるのを通り越して、そうねぇ……憐れみを感じるっていうのかしら?」
痛いところを突かれて、何も言えなくなる。
一見すると男関係も派手に思われがちな茜は、その実、本気の相手以外とカラダはもちろん、親しく接することさえしない。
あっちからこっちから、茜に対する熱い視線を感じない時なんて一瞬たりともないのに、当の茜ときたら、一切関知しないのだ。
つまり、私とは対極にあると言ってもいい。