こっちを向いてよ、ダーリン!

◇◇◇

「すみませんでした。お酒を飲ませるつもりなんて、なかったんですけれど。間違えて口にしちゃって」

「迷惑をかけて悪かったね。どうもありがとう」


遠くから聞こえる茜と圭くんのやり取り。


私は……?
私はどこにいるんだろう。


バタンと閉まるドアの音の後、ブーンと立ち去る車のエンジン音。

少しだけ冷たい風が頬に当たる。
ふわふわと心地よい揺れに少しずつ意識を取り戻していくと


「――圭くん……? どうして?」

「腕の中で暴れるな。落とすぞ」


圭くんに抱き上げられ、エレベーターに乗るところだった。

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