こっちを向いてよ、ダーリン!

圭くんを振り向かせること。
ただそれだけを目標にしてきたのだから。


「圭くんだって、さっき見たでしょ? 私、もう心も身体も大人だよ? お願いだから私の全部を奪ってよ」


どれほど勇気を出して言った言葉か。
それなのに、圭くんは何も言わずに黙って私を見下ろすばかり。


どうして何も言ってくれないの?
悲しくて切ない、そんな顔するなんて卑怯よ。


圭くんが私の髪を優しく撫でる。

そうじゃない。
その指で触れてほしいのは、そんなところじゃない。

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