こっちを向いてよ、ダーリン!
だから帰れないのに。
だから帰りたくないのに。
「沙羅ちゃん、今夜はおとなしく帰った方がよさそうだ」
「えっ……」
頼みの綱だった先生は、あっさりと私を引き渡しにかかった。
そうなってしまえば、もうこれ以上ここに留まることもできない。
「ほら、帰るぞ」
圭くんの言葉に従うしかなかった。
「圭、沙羅ちゃんは体調崩してるから、今夜はゆっくり休ませてやってくれ」
圭くんは先生の言葉に「分かったよ」と頷くと、私の背中をそっと押した。