こっちを向いてよ、ダーリン!

「沙羅、ちゃんと話をしよう」

「この前のことなら、もう忘れて。あの時はどうかしてただけだから」


圭くんに裸を見られたことも。
度が過ぎた告白をしたことも。

……思い出しただけで恥ずかしい。


「圭くんに好きな人ができたのは、もう分かったから。だから――」

「沙羅、」


私が全てを言い終わらないうちに、強い口調で私の名前を呼ぶ。


「とにかく、話しておきたいことがある」

「……な、に?」


いつにも増して真剣な言い方に、何か良くないことを言われそうで怖くなる。

口元が震えて、言葉がきちんと出て来なかった。

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