こっちを向いてよ、ダーリン!
茜と二人、揃って顔を上げる。
すると、そこに立っていたのは、あの校医。
夕べ、お世話になった先生だった。
なんで? という顔で私と先生の顔を見比べる茜。
「あ、えっと、もう大丈夫です。昨日は、ありがとうございました」
「そう。それなら良かったよ」
立ち上がって頭を下げると、先生は安心したように大きく頷いた。
「ちょ、ちょっと待って! どういうことなの? もしかして、沙羅が夕べうちに帰って来なかったのは、先生のところに泊まったから、なんてこと言わないわよね?」
「ちっ、違うよ、茜ってば!」
慌てて否定したけれど、あまりにも大きな茜の声のせいで、周りにチラホラいた学生たちが好奇の目で私たちを眺めた。