こっちを向いてよ、ダーリン!
「分かったのなら、金輪際、その手段は使わないこと。分かった?」
「……はい」
ボソッと返事をしたのが気に入らなかったらしい。
茜は、「声が小さい」と私に、もう一度返事を催促した。
痛いほど鋭い視線に捕らえられて、縮みあがる。
「はいっ!」
学食にいた人たちが視線を向けるほど。
そんな大きな声で返事をしてみせる。
すると、それに満足した茜は「よしよし」と私の頭を撫でた。
「でも、圭くんが先生の部屋まで行ったってことは、沙羅にもまだまだチャンスがあるんじゃない?」
「それは違うと思う。先生に迷惑がかかるからよ」