こっちを向いてよ、ダーリン!
「でも、今夜、何か大事な話があるって言ってるんだし。もしかしたら、沙羅の望む展開になるかもしれないよ」
私もそう思いたい。
帰りの車の中で、私の手を握ってくれた圭くんの温もりを信じたい。
そう願う一方で、私が聞きたくないようなことを言われるかもしれないという恐怖もあった。
「沙羅、携帯鳴ってるよ」
茜に言われるまで気付かなかった私。
急いでカバンから取り出すと、それは圭くんからの着信だった。
「っも、もしもし?」
『沙羅、今日はちゃんと帰って来るんだぞ』
「え?」
『絶対に帰ること。いいな?』