こっちを向いてよ、ダーリン!
「昨日、救急車で運ばれたと思うんですが……」
ダメもとで聞いた総合案内では、患者の名前すら知らない私は、当然のごとく門前払いだった。
……どうしよう。
思い付きで行動したりするから、こんなことになるんだ。
最初に、きちんと圭くんに聞いてさえいれば……。
行く当てもなく、ふらふらと院内を彷徨っていたときだった。
ふと、圭くんに似た後ろ姿を遠くに見かけて、バタバタと追いかける。
「圭く――」
その距離、数メートルというところで、足も口も止めざるを得なかった。
あの人……。