禁断恋~夜風に想いをノセテ~

『ねえ、風。』


屋上に着くと夜は俺の両側の頬を両手で優しく包み込んで俺の額に夜の額を重ねた。


『癌は・・完璧に治らないわけじゃないよ?たしかに、これからくぅちゃんは辛い思いをたくさんしなくちゃいけないと思う。そんな時に優しく支えてあげる人がいないとくぅちゃんはもっと辛いよ・・。ねえ、風。私たちが支えてあげよう?明くんと一緒に応援してあげようよ。』


夜はゆっくりと俺に言い聞かせるように話した。

屋上に吹く風は俺の頭を冷やしてくれた。


『そーだよな。俺が暗い顔してたらダメだな。』


本当。

俺ってバカだな。

俺は俺のことしか考えてなかったのかもしれない。

久実ちゃんの気持ちをちゃんと考えることができてなかったと思う。

ありがとな、夜。

しっかりサポートして行こうぜ。


『ほら、くぅちゃんの所に行こう?』

『ああ。』


このとき・・俺たちはまだ気づいていなかった。

これから本当に辛くなってしまうのは夜だってことに。
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