Like Cats and Dogs
バシャっ!
派手な音がして赤ワインが私のスーツに掛かる。
嘘!
「お気に入りのスーツなのに!!ちょっとぉ!気を付けなさいよ」
「キャンキャンうっせぇな。スーツなんてどれも同じだろ?これだから犬はすぐ吠える」
「何よ!さっきからキーキー煩いのは猿の方でしょ!ボス猿気取りが」
「何だと!」
私と猿渡が歯を剥き出して対峙していると
「出たよ~犬猿コンビ。まぁまぁお二人さん。喧嘩ばかりしてないで今日ばかりは楽しもうよ」
と広報部の大御所、年配の部長が私たちの間を引き離すように手を入れて、喧嘩をいさめている。
そうなのだ。
名実ともに私たちはまさに『犬猿の仲』
合わない―――って一言で片づけられるものじゃない。
私は猿渡が大嫌い。
たぶん向こうも私のこと大嫌いだと思ってるだろうけど。