Like Cats and Dogs
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「ちょっと!猿渡っ!どこへ行く気よ」
私は猿渡に手を引っ張られるまま彼の後をついていくしかない。
「てか飲み会!いいの?」
私は飲み会の開催されている居酒屋を振り返る意味で目配せすると
「そーだった。お前のせいで抜け出しちまう羽目になっちまったじゃねぇかよぉ」
猿渡は唇を尖らせる。
「わ…私のせい!?あんたが勝手に連れ出したんでしょ!!」
思わず言い返すと
「だってあのままだったらあいつに強引に家に送られてただろう?」
「そうかもしれないけど、その原因を作ったのはあんたじゃない!」
「分かってねぇな。犬井、あの室長に目ぇ付けられてたんだぜ?あいつ美人を見つけるとすぐ目ぇつけて手ぇ出すって有名な話」
え―――……それって、私を美人だと思ってくれてるってこと……?
猿渡は失言をしたと言った感じで慌てて口を噤み、それでも私から手を離すことなく私の前をどんどん歩いていく。
「うち、どこ?確か五反田の方だったよな」
「何で知ってんのよ、そんなこと」
「うっせ、研修中に自己紹介し合ったろう?オリエンテーリングで、そいう指導があったじゃねぇか」
そっか…そのとき五反田って言ったんだっけ……てかもう八年も前の話だよ?
よく覚えてんな~私は猿渡の下の名前だって危ういのに。
そんなやりとりをしながら私はヤツに送られることになった。
人生最悪の失態だよ。