夫婦の定義──君が僕のすべて──
ユウがレナの頭を撫でようとした時。


レナは体をビクリと震わせた。

そして、ユウの顔を見た途端、声をあげた。

「やっ…!!怖いよ、やめて、ユウ!!」

「えっ…?」

レナは涙を流しながら、必死で抵抗するように手足をバタつかせる。

「嫌…!!やめて…!!ユウ…!!」

何が起こっているのかわからず、ユウは取り乱すレナを落ち着かせようと抱きしめる。

「レナ?!落ち着いて…。」

「嫌…怖い…こんなの私の知ってるユウじゃない…!!」

(えっ…?!)


レナの言葉に、ユウの中の遠い記憶が蘇る。


どんなに想っても届かないレナへの想いを、乱暴にぶつけてしまったあの日の、苦い記憶。

力ずくで、無理やりレナを自分のものにしてしまおうとした。

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