夫婦の定義──君が僕のすべて──
レナは夢の中をさまよっていた。

現実と夢の境目がわからなくなりそうなほど、とてもリアルな夢だった。



―――ユウに無理やり押し倒され乱暴に抱かれた後、うずくまって泣いているレナのお腹がだんだん大きくなって行く。

(何これ…?怖いよ…。)

大きくなったお腹の中で、何かが蠢いている。

突然お腹が痛くなったと思ったら、レナはたくさんの人に覗き込まれながら、眩しいライトの下で、膝を立てて両足を開いた体勢で寝かされていた。

今すぐ逃げ出したいのに、恐怖と痛みで体は動かず、声も出せない。

(嫌だよ…痛い…怖いよ…。助けて…。)


やがて下腹部に激しい痛みを感じて、たくさんの人の手で、お腹の中にいた何かが取り上げられた。

誰かがレナのそばにやって来て、おくるみに包まれたそれを見せながら笑って言う。


「オレの子供を産んでくれてありがとう。」


おくるみに包まれていたのは、蒼白い顔をした赤ちゃんだった。

そして、その子を抱いていたのは、意地悪くニヤニヤ笑うシオンだった。



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