夫婦の定義──君が僕のすべて──
「水でも飲む?持って来ようか?」

「……うん…。」

レナの頭をポンポンと優しく撫でて立ち上がったユウは、キッチンに行って、冷蔵庫から冷えた水のボトルを取り出した。


怯えて、怖い、ユウやめて、と言っていたレナが、ユウの赤ちゃんを産むから死なないで、と何度も謝っていた。


(オレがそばにいても大丈夫なのかな…。でも…あんなレナを一人にはしておけない…。)

複雑な思いでユウはレナの部屋に戻る。

ユウが部屋に戻ると、レナはベッドの上に座って、ボンヤリと壁の一点を見つめていた。

「ハイ、水。」

ユウが水のボトルを差し出すと、レナがビクッとして身をすくめる。

「あ…ありがと…。」

受け取ろうとしたレナの手から、ボトルが転がり落ちた。

「……。」

レナの手が、小刻みに震えている。

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