夫婦の定義──君が僕のすべて──
レナの部屋のドアをそっと開けると、レナは着替えを済ませて、ベッドの中で眠っていた。

(良かった…眠れたんだ…。)

レナが脱いだ服を手に取り、ユウはレナの寝顔を見つめる。

(またうなされたら困るから、今夜はここにいよう。)


レナの服を脱衣所の洗濯かごに放り込むと、ユウはまた眠っているレナの傍らに座り、どこか不安そうなその寝顔を見つめながら、いつしか眠りの淵に落ちた。




誰かがユウの肩を揺する。

(ん…?)

ゆっくりとまぶたを開くと、ベッドの上でレナが何かを言おうと口を開く。

「レナ…。おはよ…。」

ユウが眠そうに目をこすりながらレナの顔を見ると、レナは唇をかみしめた。

「どうした…?」

レナは、ユウの顔を見ながら、ゆっくりと口を動かす。


“声が、出ない”


「えっ…?!」


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