夫婦の定義──君が僕のすべて──
ユウは考えを振りきるようにビールを煽る。

窓ガラス越しに、レナがユウを見ているのに気付くと、ユウは振り返ってビールを差し出す。

「久し振りに、一緒に飲む?」

レナはうなずいてユウのそばまで来ると、両手でビールを受け取った。

「珍しいだろ。沖縄の酒造メーカーのビールらしい。」

レナはユウから少し離れてソファーに座り、缶ビールのタブを開ける。

(これが、今のオレたちの距離なのかな…。)

一緒にビールを飲む時は、いつもぴったりと寄り添ってソファーに座っていたのに、見えない何かに邪魔されているような、詰める事のできない距離がユウの胸をしめつける。

(それでも…レナと一緒にいられるなら…。)

二人は少し離れて、黙ってビールを飲む。

(なんだか…いつもより苦く感じるな…。)

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