夫婦の定義──君が僕のすべて──
旅行から帰ってから数日。

ここ最近、レナはやけに髪を気にしている。

ソファーに座って一緒にカフェオレを飲んでいると、レナが自分の前髪の毛先をつまんで、じっと見つめている。

「髪、気になるの?」

ユウが尋ねると、レナは静かにうなずく。

「美容院、予約する?」

レナは少し考えて、首を横に振る。

(まだ、あまり人に会いたくないんだな…。)

声が出なくなってから、ずっと部屋にこもって塞ぎ込んでいたレナを見て、以前週刊誌で記事を書かれた時の自分のようだとユウは思っていた。

そんな時も、レナは変わらずユウに接して、いつもより優しく抱きしめてくれた。

(あの時オレは、そんなレナの事も遠ざけてしまったけど…。レナはオレに少しでも近付こうとしてくれてるんだ。)

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