夫婦の定義──君が僕のすべて──
「なるほど、それでか。」

「沖縄に行ってすぐは表情も暗くて、病気になった自分を責めて、いろいろ悩んだり落ち込んだりしてたみたいですけど…途中からは表情も穏やかになって、少し笑えるようにもなって…ここ何日かは落ち着いてますし、だんだん良くなってると思います。」

「そうか…。」

ヒロはコーヒーを一口飲むと、遠い目をして静かに話し出す。

「こういう商売してるとな、見ず知らずのヤツから嫌がらせされたり、訳のわからん理由で世間の目に晒される事がある。オマエにはその経験があるから、よくわかるだろ?」

「ハイ…。」

「オレら自身がそういう目にあうのは、自分の意志でこういう世界にいる以上、仕方ない部分もある。ただな…自分のせいで、家族がそれに巻き込まれて傷付けられた時…結局、守ってやれるのは自分しかいないんだ。」

「……。」

ヒロはユウの肩をポンと叩いて立ち上がる。

「オレにもそんな時があった。今はしんどい時だろうが、オマエの手でしっかりレナを守ってやれ。」

「ハイ。」


(そうか…。ヒロさんにもそんな事が…。だからヒロさん、余計に奥さんを大事にしてるのかも知れないな…。)

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