夫婦の定義──君が僕のすべて──
「なぁ…。この声、アイツに似てない?」

タクミが険しい顔で隣の会話を聞いている。

「アイツ?」

「ほら…。なんとか言うアイドルグループの、シオンってヤツ。前に歌番組で一緒になった時に、すごく声に特徴あるなって思って。昔の友達と同じ名前だから、余計に覚えてた。」

「あぁ…。確かさっき、そんな名前聞いた。」

ハヤテがメニューを見ながら言うと、加藤が慌てふためいてユウの方を見た。

「フミ…どうした?」

ただならぬ様子に驚くユウの腕を掴んで、加藤は低く呟く。

「ユウくん…。前に言ってた、控え室にいたアイドルって、確かシオンって名前だった…。」

「…えっ?」

「アイツの言う30歳の人妻って…もしかして、レナさんの事じゃ…。」

「まさか…。」



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