夫婦の定義──君が僕のすべて──
それからレナを連れてタクシーでマンションまで戻ると、ユウは相変わらず泣き続けるレナをソファーに座らせ、優しく抱きしめた。

「レナ…。ごめんな。オレが誘ったばっかりに…。」

レナは何も答えず、ただ泣き続ける。

「オレのせいで怖い思いさせたんだな…。ホントにごめん…。」

しばらくユウは、小刻みに震えながら泣いているレナを、ただ黙って抱きしめていた。

(オレが守るって言っておきながら、結局はオレのせいでレナを嫌な目にあわせてしまったんだ…。)

ユウは自分のせいでまたレナを傷付けてしまった事を思うと、胸がしめつけられるように痛んだ。

どうする事もできないやるせなさに、ユウはただ胸を痛める事しかできなかった。


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