夫婦の定義──君が僕のすべて──
その日の晩、ユウはドア越しに声を掛けてから少しドアを開けてレナに話し掛けた。

レナは膝を抱えて床に座り、膝の上に頭を乗せて、ユウに顔を見せようとはしなかった。

「明日から三日間、留守にするんだ。その間、レナはおふくろのところにいてくれる?」

レナは返事をしようとしなかった。

「明日の朝早くに送って行くから、着替えとか用意しといて。」

ユウが部屋のドアを閉めると、レナは顔を上げて壁を見つめる。

(あんな事、ユウに知られたくなかった。他の人にあんな事されたなんて、絶対に知られたくなかったのに…。)

レナは目に涙を浮かべ、唇をかみしめる。

(そのせいでユウを怖がってたなんて、もしユウが知ったら…私もう、ユウと一緒にはいられないよ…。)

ユウと一緒にいたい。

でも、今は一緒にいるのがつらい。

(神様はどうして私たちにこんな意地悪をするんだろう…。二人で幸せになるってちゃんと誓ったのに…。私はただ、ユウと一緒にいたいだけなのに…。)


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