夫婦の定義──君が僕のすべて──
部屋までレナに付き添った後、直子はリビングに戻ってため息をついた。

(お互いに大事だと思うからこそ苦しいし、相手を悲しませてると思ってつらいのね…。)

無邪気に笑う幼い頃の二人の写真を見ながら、直子は七夕飾りの短冊に書いた願い事を思い出す。

(リサさんと二人で“ユウとレナが結婚して幸せになれますように”って書いたっけ…。)

すっかり冷めてしまったワインを飲みながら、直子はアルバムをめくる。

クリームを口の回りにいっぱいくっつけて、クリスマスケーキを頬張るユウとレナ。

誕生日にリサが作ったお揃いの服を来てはしゃぐユウとレナ。

ランドセルを背負って手を繋ぐユウとレナ。

いつも何をするのも一緒だった、幼い頃の無邪気な二人。

「ホントにかわいかったなぁ…。」

直子は小さく呟いて愛しそうに写真を眺める。

(ユウもだんだん大きくなって、お嫁さんにしたいとは言わなくなったけど…それでもずっとレナちゃんのそばにいて、レナちゃんを想う気持ちは変わらなかった…。)

レナがいなければ今のユウはなかっただろう。

お互いがそばにいたから、今のユウとレナがいるのだと直子は思う。

(あの子たちには、誰よりも幸せになって欲しい…。ずっと二人で笑っていて欲しい…。)

直子は七夕の短冊に書いた、直子とリサの願い事が叶う事を祈りながら、静かにアルバムを閉じた。


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