夫婦の定義──君が僕のすべて──
翌日にライブイベントを控えたユウは、会場近くのホテルに宿泊していた。

同室になったタクミが、ユウの向かいに座ってビールを差し出す。

「一杯どう?」

「サンキュ。」

しばらく二人で黙ってビールを飲んだ。

「あれからあーちゃんの様子はどう?」

ユウは少し眉間にシワを寄せてため息をつく。

「また部屋にこもって塞ぎ込んでる。オレと顔合わせるの、つらいみたいだ。」

「今日は家に一人なの?」

「おふくろんとこに預けてきたよ。また出て行ったりするかも知れないから。」

「そっか…。」

タクミはビールの缶を持つ手元を見つめる。

「とりあえず、アイツはもう芸能界にはいられないと思う。未成年者だから、名前は表に出ないけど…アイツのした事は犯罪だから。表に出るのは、せいぜい飲酒と喫煙の記事くらいだろうな。もう戻れないように、事務所にも圧力掛けといた。」

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